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自治体、不安解消訴え 島根1号廃炉決定 「逐一経過報告を」 廃棄物 住民懸念も

 中国電力島根原発1号機(松江市)の廃炉が正式に決まった18日、立地自治体に加え、周辺自治体の首長もそろって中電に廃炉作業の安全確保を求めた。住民たちからは、実際の廃炉作業で発生する「核のごみ」への懸念の声も聞かれた。

 この日、中電の幹部たちが廃炉決定を報告したのは、立地自治体の島根県の溝口善兵衛知事と松江市の松浦正敬市長のほか、島根原発から30キロ圏内にある出雲、安来、雲南、米子、境港の5市長と鳥取県の平井伸治知事。中電と各自治体が結ぶ安全協定などに基づき、説明に訪れた。

 島根県側では、溝口知事、松浦市長が、廃炉の工程に強い関心を示したのに続き、出雲市の長岡秀人市長が「放射性廃棄物の処理など、市民の不安や疑念を取り除いてほしい」と要望。安来市の近藤宏樹市長は「完全に廃炉になるまで逐一、経過報告を」と求め、雲南市の速水雄一市長は「周辺自治体に伝えたことも評価したい」とした。

 一方、鳥取県側では清水希茂副社長の訪問を出張先の倉吉市で受けた平井知事が「安全確保が最優先。今後も説明責任を果たしてほしい」ときっぱり。30キロ圏に市域がすっぽり入る境港市の中村勝治市長は「放射性廃棄物対策に万全を」、米子市の野坂康夫市長も「安全安心が第一」と中電幹部に注文した。

 30キロ圏内の住民も、地元の課題としてとらえ始めている。境港市役所を訪れていた米子市大篠津町の団体職員立川清美さん(45)は「原発が完全になくなるわけではないので、不安は残る」と打ち明けた。出雲市塩冶町の自営業中尾和徳さん(62)は「廃炉は歓迎」とする一方で「放射性廃棄物が原発敷地内にたまらないか心配」とする。

 1号機の廃炉が、2号機の再稼働と建設中の3号機の稼働につながるとの声も。反原発の市民団体「さよなら島根原発ネットワーク」の杉谷肇共同代表(73)は「2号機や3号機が動けば地元の不安は今より増す。3号機稼働の呼び水になるのでは」と警戒する。

(2015年3月19日朝刊掲載)

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