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核ごみ処分 具体策見えず 島根1号廃炉決定 中電社長 安全第一を強調

 島根原発1号機(松江市、出力46万キロワット)の廃炉を18日に正式決定した中国電力。苅田知英社長は同日、報告のため訪れた島根県庁で報道陣に対応し、「核のごみ」問題に責任を持って取り組む考えを示した。巨額の投資で安全対策工事をして再稼働にこぎ着けても、採算が合う見込みがないとの検討結果も明かした。(山瀬隆弘)

 苅田社長は、使用済み燃料や解体に伴う放射性廃棄物が「長く島根原発の敷地内に保管され続けることに納得できない」(松江市の松浦正敬市長)という地元の懸念に対し、「国と事業者が責任を持ってやっていく」と力を込めた。

 ただ、その具体策は見えなかった。使用済み燃料を原発構内から搬出する見通しが現時点で立たず、「2号機の燃料プールに移しながら」との発言にとどまった。使用済み燃料の取り出しなど具体的な廃炉工程を示す廃止措置計画を半年程度でまとめるが、最終的な処分までは盛り込めない可能性があると話した。

 「30年、40年かかる」とした廃炉作業を「当社では初めての経験。安全を第一にやっていく」と説明。「先行する廃炉事例を見ながら進める。ある意味、オールジャパンでの取り組みでもある」と訴えた。1号機の跡地の利用策は「まだ考えていない」とした。

 中電は、安全対策工事の採算性や中国地方での電力需給などを中心に廃炉か運転延長かの検討を進めてきた。1号機が稼働すれば火力発電所の燃料費が年約460億円減らせる効果があるが、安全対策に必要な巨額投資を考えると「費用対効果で劣る」と強調した。供給力は「島根2号機、3号機の稼働を前提に考えると確保できる」と述べた。

(2015年3月19日朝刊掲載)

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