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外国人入館者8割減 4月前年比 原爆資料館 原発事故影響か

■記者 金崎由美

 原爆資料館(広島市中区)の4月の外国人入館者数が、前年同月に比べて約8割減の約5千人に落ち込んだことが20日、分かった。東日本大震災と福島第1原発事故が影響したとみられる。

 大震災が発生した3月11日以降の20日間、外国人の入館者数は前年同期に比べ6割減少していた。4月になっても回復せず、減少に拍車がかかった形。前年同月は約2万4千人だったのに対し、約5千人にとどまった。

 外国人入館者数はこれまで順調な伸びをみせてきた。2010年度は過去最高の18万1847人を記録しただけに、山根真裕美副館長は「どこまで減少が続くのか」と懸念する。

 日本政府観光局が19日に発表した4月の外国人旅行者数(推計値)は、前年同月比62.5%のダウン。調査データがある1961年1月以降で過去最大の落ち込みとなったが、原爆資料館の外国人入館者の減少率はそれを大きく上回った。

 資料館で展示解説に携わるピースボランティアの大西知子さん(61)=東区=は「外国人の少なさを実感している」。日本被団協の坪井直代表委員(86)は「放射線被害を扱う資料館を敬遠する心理が働いているのだろうか。こんな時こそ風評被害に惑わされず、展示を見に来てほしい」と訴えている。

 また、資料館の4月の全体の入館者数も落ち込み、前年同月比約3割減の7万3千人だった。

(2011年5月21日朝刊掲載)

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