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放射線の影響 正確な知識を 福島事故受け南区でセミナー

■記者 河野揚

 放射線の人体への影響を学ぶ市民公開セミナー「知っておきたい放射線障害への対応」が22日、広島市南区の県社会福祉会館であった。福島第1原発事故を受け、医師や看護師の勉強会を開いているNPO法人が正確な情報を住民に伝えようと主催した。

 県内の病院などに開催の案内文を置き、約70人が集まった。放射線影響研究所(南区)の中村典主席研究員は、原爆被爆者の調査研究を基に講演。原発事故で住民避難の基準値としている20ミリシーベルトを被曝(ひばく)した場合、「がんになる確率が1%増加すると推測できるが、遺伝的な影響はまったく心配する必要はない」と強調した。

 広島大原爆放射線医科学研究所(同)の神谷研二所長は「放射性物質の放出は微量なため、健康への影響は考えられない」と解説。福島での広島大の医療支援活動を報告し「被曝医療の技術と知識の集積を、福島県民の健康管理に役立てていきたい」と力を込めた。

 NPO法人の日本医療マネジメント学会広島支部の主催。聴講した東広島市の広島国際大医療福祉学部4年の松田正規さん(22)は「ニュースで見るより福島は危険ではないことが分かり、勉強になった」と話していた。

(2011年5月23日朝刊掲載)

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