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生き生き孤児 カープ応援 故中沢さん漫画の主人公モチーフ 球団と本社制作 マツダ球場北に像完成

 広島東洋カープの本拠地、広島市南区のマツダスタジアム北側の一角に20日、故中沢啓治さんの漫画「広島カープ誕生物語」に登場する原爆孤児の主人公たちをモチーフにした像が完成した。惨禍から復興した広島の街の移ろいを表す「壁画」とともに、被爆70年に合わせ中国新聞社とカープが共同で企画、制作した。球団と市民が支え合って歩んできた歴史を感じられるスポットとなる。(菊本孟)

 主人公の進と、友人の少年少女たち、犬の計6体の銅像。高さ2・2メートル、幅2・5メートル。コンクリート製の土管に腰掛け、カープの野球帽をかぶって両手でVサインをつくる進を中心に、旗を振り、生き生きと応援している。

 像を置いたのは、2月に完成した屋内練習場の東にある約200平方メートルの三角形の敷地。地面に原爆投下3日後に運行を再開した路面電車の敷石とレールを配した。L字形の壁(高さ2メートル、幅45メートル)の一端付近に被爆した瓦とれんがを積み、壁面には生活再建の場となったバラック、旧市民球場の外壁を模した図柄などを順に描いて、被爆地の復興を伝えている。

 この日、関係者で完成披露式を開き、除幕した。中沢さんの妻ミサヨさん(72)は「被爆後を力強く生きた子どもたちの姿に平和のありがたさを感じてほしい」。近くに住む主婦山田彩子さん(29)は「像の笑顔を見れば、カープが復興の支えになったとよく分かる」と話した。

(2015年3月21日朝刊掲載)

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