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被爆体験や惨状 継承願うDVD 兵庫の実行委 広島追悼祈念館に寄贈

 兵庫県尼崎市の「平和への願い継承事業実行委員会」は、同市内に住む被爆者の証言や当時の状況などを分かりやすくまとめたDVD「忘れてはならない夏がある」を制作し、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)などに寄贈した。

 「本編」と「紙芝居」の2部構成。本編は、広島の被爆者2人の語りを中心に、当時の写真やイラストなどを織り交ぜながら、戦前の広島の様子や、原爆被害の概要も分かるようにまとめた。学校の授業で使いやすいよう、長さは33分にした。紙芝居は、広島、長崎の被爆者3人の体験を描いたものを、それぞれ12~15分で紹介している。

 尼崎市原爆被害者の会のメンバー3人が同祈念館を訪問。山家好子事務局長(80)が浅川伸二館長にDVDを手渡した。山家さんは「活動する私たちは高齢化している。映像にして残したい夢がかなった。見た人が引き継いでいってくれれば」と話していた。

 山家さんは11歳の時、爆心地から約2・4キロの広島電鉄己斐駅(現西広島駅、西区)で被爆。すぐ西観音町1丁目(爆心地から約1・5キロ、現西区)の自宅跡に戻って2日間、母を捜した。母は被爆死していたという。

 DVDは、実行委を設けて尼崎市民や事業者に協賛を呼び掛けるとともに、同市から市民活動団体助成金を受けて制作。千枚作って同市内の小中高校、大学や公民館などに配った。広島市では祈念館に加え、原爆資料館(中区)などに寄贈した。貸し出しもしている。資料館や祈念館で閲覧もできる。貸し出しは、実行委Tel06(6489)6815。(二井理江)

(2015年3月23日朝刊掲載)

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