×

ニュース

サダコ絵本 日本語版製作 原爆の子の像建立50年記念

■記者 森田裕美

 原爆の子の像のモデルになった佐々木禎子さんをテーマに、広島市の特定非営利活動法人(NPO法人)「ANT―Hiroshima」が核保有国パキスタンの画家と現地語で共同製作した絵本の日本語版が完成した。像建立から50周年を迎えたのを記念し、平和教材として学校などに無料配布する。

 タイトルは「サダコの祈り」。愛や寛容を説く鳥が子どもを背中に乗せ、核が拡散する世界やヒロシマを案内。病と闘ったサダコや、その死と向き合った子どもたちの願いが広がった像の建立運動を紹介し、平和への努力を呼び掛ける。

 絵本ができたのは一昨年。パキスタン大地震や紛争の被災者支援に取り組むANTが「悲劇に負けない強さや希望を伝えよう」と同国の画家ファウジア・ミナラ(45)さんと作り、読み聞かせなどで広めている。

 像建立から半世紀。渡部朋子代表理事(54)が「今の子どもたちにも平和な未来を求める気持ちを忘れないでほしい」とA4判、30ページの日本語版を発行した。非売品で寄付金などを費用に充てた。

 ミナラさんは「パキスタンにも絵本を読んで核や暴力に胸を痛め、平和を祈る市民がいることを知ってほしい」と思いを託す。ANTメンバーの通訳畝崎雅子さん(50)=広島市中区=が広島出身のハワイ移民の戦争体験をまとめた「ヒロシマとハワイを結ぶ物語」(日英対訳)とセットで広島県内の学校や公民館に配るほか、平和学習に使う個人・団体に送る予定。

(2008年7月22日朝刊掲載)

関連記事
禎子の願い共有しよう 兄雅弘さん 米国の教員と交流 (08年7月25日)
「原爆の子の像」募金へ 共感の輪広げたビラ (08年6月25日)
原爆の子の像 50年 折鶴のサダコの祈り 世界へ(08年5月 2日)

年別アーカイブ