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「上関原発中止」県に要請 周南市議会 意見書あす可決

■記者 岩崎秀史、金刺大五

 山口県上関町への中国電力の原発建設計画をめぐり、周南市議会は25日の会派代表者会議で、「現状では安全性の確保が困難」として中電に中止を申し入れるよう二井関成知事に求める方針を全会一致で決めた。二井知事への意見書案を、議長選のため開く27日の市議会臨時会に提出する。意見書案は可決される見通し。

 県や市議会事務局によると、上関原発計画の中止を求める意見書案が可決されれば、県と県内19市町の議会で初となる。周南市は上関町の建設予定地の北西に位置し、市域の一部が30キロ圏内に入っている。

 意見書案は、上関原発で万一の事故が起きた場合、風向きによっては市内全域が影響を受け、「避難区域となった場合、農業や漁業だけでなく、コンビナートの工場群が全面停止する事態となる」と指摘。中電に建設中止を申し入れるよう求めている。

 さらに国に対し、既設の原発の安全審査や事故時の対処法を確立する▽原発の新設や増設を凍結する▽原発に代わる新エネルギービジョンを早急に策定する―ことを求めるよう二井知事に要請する。

 上関原発計画をめぐり、二井知事は19日、建設予定地の埋め立て免許について、失効も視野に検討しているとし、6月開会の県議会定例会で見解を説明すると表明した。

 周南市議会では福島第1原発事故を受け、全9会派のうち共産党が4月に意見書の提出を提案。この日の会派代表者会議に4会派が文案を出した。座長を務めた米沢痴達副議長は「福島の惨事が収まらない現状で、想定外では許されない危機感が共通認識としてあり、全会一致でまとまったのではないか」と話している。

 同市は、上関原発建設に伴って地元や周辺自治体が受ける電源立地地域対策交付金の支給対象に入っていない。

(2011年5月26日朝刊掲載)

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