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『フクシマとヒロシマ』 汚染マップ8月公開へ 国の土壌調査計画

■記者 山本洋子

 福島第1原発事故を受けて文部科学省は26日、福島県全域と周辺で計1万サンプルに上る土壌の大規模調査をし、8月に放射性物質の「汚染マップ」を公開する方針を正式に発表した。広島大や岡山理科大、放射線医学総合研究所(千葉市)など30以上の大学・機関が参画。住民の被曝(ひばく)線量の推計など健康管理に活用するとともに、避難区域の解除や農業の再開などの判断材料にする。

 この日、東京都内で開いた専門家による第1回検討会で説明した。主査に選ばれた元放射線審議会会長の中村尚司東北大名誉教授は「住民の健康管理、生活再建に影響する重要な調査。広島などの知見を軸に、オールジャパンの研究者で当たる」と述べた。

 汚染分布は同心円でなく、局所的に高濃度の地区が存在しているため、広島大は原爆投下後の「黒い雨」やチェルノブイリでの調査研究の実績を生かす。

 土壌調査は福島県全域のほか、原発から80~100キロ圏内にあたる宮城、茨城、山形県の一部が対象となる見通し。今月下旬~6月中旬に実施する。80キロ圏内は2キロ四方、80~100キロ圏内は10キロ四方で区分する方向で、計1万点余の土壌サンプルを採取。ヨウ素やセシウムの蓄積量を測定する。

 田畑などの農地の汚染度、空間線量についてもマップにする。併せて河川や地下水も採取し、放射性物質の分布が時間の経過などでどう変化するかなども分析する。調査には、本年度の科学技術戦略推進費として約7億1千万円の予算配分が内定している。

(2011年5月27日朝刊掲載)

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