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上関原発計画 中止の意見書可決 周南市議会

■記者 岩崎秀史、金刺大五

 山口県上関町への原発建設計画をめぐり、周南市議会は27日の臨時会で、建設中止を中国電力に申し入れるよう二井関成知事に求める意見書案を全会一致で可決した。近く意見書を二井知事に出す。県などによると、上関原発計画の中止を求める意見書は県と県内19市町の議会で初めて。

 同市は市域の一部が建設予定地から30キロ圏内にある。この日の議長選で就任した米沢痴達議長は「全会一致での可決は大方の市民の意見と受け止める。できれば知事に直接申し入れたい」と述べた。

 意見書は、上関原発で事故が起きると、風向きによっては市内全域が影響を受け、コンビナートの工場群が全面停止する事態もありうると指摘。福島第1原発事故が終息しない現状では安全性の確保が困難とし、建設中止を中電に申し入れるよう求めている。

 さらに、既設の原発の安全審査、事故後の対処法を確立する▽原発の新設や増設を凍結する▽原発に代わる新エネルギービジョンを早急に策定する―ことを国に求めるよう二井知事に要請する。

 二井知事はこの日の記者会見で、意見書について「具体的な内容を承知せず、今コメントするつもりはない」と述べた。一方で「これだけの事故が起き、県民に不安感が広がっているのは当然」と理解も示し、「国が国民の不安解消のためにどれだけの対策を取るのか、まず見極めたい」とした。

 二井知事は上関原発の建設予定地の埋め立て免許について、失効も視野に入れて検討している。免許延長を認めるかどうかについての見解を、6月開会の県議会定例会で表明する方針。

(2011年5月28日朝刊掲載)

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