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他原発の運転「未定」 中電15年度供給計画 島根1号機廃炉へ 販売電力量の鈍化見込む

 中国電力は27日、2015年度の電力供給計画を発表した。島根原発1号機(松江市)の廃炉を盛り込み、他の原発の運転時期は4年連続で「未定」とした。一方、本社で会見した苅田知英社長は山口県上関町で計画を進める上関原発について「重要性が増した」とし、建設に取り組む考えを示した。廃炉にする島根1号機の使用済み燃料をめぐっては、新設する3号機の燃料プールで保管する可能性も示唆した。(山瀬隆弘、河野揚)

 計画は、原子力規制委員会の適合性審査が続く島根2号機も含め原発の運転を見通せないことから、今後の供給力も未定とした。販売電力量の伸びは、来年4月の電力小売り全面自由化に伴う競争で鈍化すると見込んだ。14年度の計画で年平均0・7%とした伸び率を0・4%に引き下げた。

 苅田社長は2千億円超としている島根原発の安全対策の投資額は「さらに増えるのは間違いない」と強調。さらに、政府が検討する電源構成の原発比率が小さくなったとしても、上関原発の建設を推進する意欲を見せた。

 火力発電では、三隅火力発電所2号機(浜田市)の出力を従来の40万キロワットから100万キロワットに修正した。中電は国の指針に基づき、94万5千キロワットの電源の確保に向けた入札を実施。22年11月の運転開始に向け、自社での落札を目指す。

 14年度に750億円を見込む経費削減は15年度、280億円にとどまる見通しも公表。12年の島根原発停止から、発電所の修理なども先送りしてきた。苅田社長は「安定供給を続けるには限界を迎えている。高稼働が続く火力発電の補修を計画的に進める」とした。

「上関 必要な時来る」 苅田社長一問一答

 苅田社長の会見での主なやりとりは次の通り。

 ―原発についての今後の計画は。
 島根2号機は審査会合が39回あった。適切に対応しているが再稼働の時期を言うのは難しい。(建設中の)3号機の審査申請は2号機の状況を見ながらになる。上関は将来の二酸化炭素(CO2)削減を考えると、必要となる時期が必ず来る。

 ―島根1号機の廃炉作業では使用済み燃料の運び出しが課題になります。
 使用済み燃料は青森県の再処理工場に持って行く。状況によっては余裕がある2号機の燃料プールで保管する場合がある。3号機が運転を始めれば、そのプールの共用もできる。

 ―電気料金の引き上げは考えていますか。
 経済が上向きつつある。電気料金を値上げせずに頑張りたい。

 ―2016年3月期の業績見込みは。
 2号機の再稼働が未定で、収支を見通すのが難しい。経営の効率化に取り組むが、黒字になるか赤字となるかは、予断を持って言えない。

 ―締め切りが月末に迫る東京電力の火力電源入札には、どう対応しますか。
 JFEスチール、東京ガスと一緒に、応札を前提に検討している。

(2015年3月28日朝刊掲載)

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