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被爆70年で国会決議模索 広島選出の与野党議員ら 首相談話に配慮も 機運高まるか不透明

 被爆70年に日本政府へ核兵器廃絶の努力を求める国会決議を目指す声が、被爆地・広島選出の与野党国会議員たちから上がっている。被爆者救済や核軍縮会議でのリーダーシップといった課題を盛り込むことを模索する。ただ、安倍晋三首相が今夏に発表する戦後70年談話に与野党の注目が集まる中、決議に向けた機運が高まるかどうかは不透明だ。(藤村潤平)

 「原爆症認定や『黒い雨』被害の援護拡大の問題にも焦点を当てる決議にしたい」と意欲を示すのは、自民党の寺田稔氏(広島5区)。代表世話人を務める党の「被爆者救済を進める議員連盟」(河村建夫会長)を足場に、決議への動きを加速させたい意向だ。

 民主党の森本真治氏(参院広島)は、核拡散防止条約(NPT)再検討会議(27日~5月22日)などをにらみ「被爆国として核兵器廃絶を主導するよう求めたい」と話す。岡田克也代表は核軍縮に熱心なことで知られ、党全体での後押しも期待する。

 公明党の斉藤鉄夫幹事長代行(比例中国)も「他党から具体的な相談はない」としつつ、核兵器の非人道性に関する議論の国際的な高まりを挙げて「70年を節目にした決議は意義がある」と前向きな姿勢だ。

 被爆70年決議の実現に向けた鍵の一つになるのは戦後70年の国会決議だ。被爆60年決議は、戦後60年決議と一体だったからだ。

 その戦後70年決議について、自民党の谷垣禎一幹事長は3月の記者会見で「必ずしも必要ではない」との見解を表明。決議に慎重な姿勢を示した。

 谷垣氏の発言には、安倍首相が戦後70年談話を出す環境を整えるための配慮がにじむ。2005年8月に採択された戦後60年決議は、戦後50年決議で明記された「侵略的行為」などの文言が消えたため野党が反発し、調整が難航。70年談話で首相の歴史認識が問われる中、決議に向けた議論が本格化すれば、与野党間で激しい駆け引きが起きるのは必至だ。

 寺田氏は「被爆70年に核兵器廃絶などへの思いを新たにすることに反対する議員はいない」と強調する。議連の会合を近く開き、まずは党内での賛同を広げるための対応を協議したい考えだ。

(2015年4月3日朝刊掲載)

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