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原爆症認定 審査待ち2500件 基準緩和で申請急増

■記者 森田裕美

 原爆症認定基準の緩和を受け、全国で最も被爆者数が多い広島市に申請が集中し、国の審査待ちが同市分だけで約2500件に上ることが22日分かった。全国の集団訴訟で相次いだ原告側の勝訴判決も背景にある。被爆者の高齢化が進む中、迅速な審査が求められている。

 広島市は全国の被爆者総数の31%を占める。市によると、昨年度は30件前後だった月別の認定申請は、1月から月に100件を超え始め、国が認定条件を緩和する新基準を導入した4月は、618件と急増した。

 認定増への期待を反映したとみられ、6月までの3カ月で計1651件。既に2007年度(735件)の2倍を超えた。

 ただ、国の審査は追いつかず、新基準前からの積み残しを含めると、広島市を窓口に申請した分の審査待ちは2523件。市原爆被害対策部の中村明己認定担当課長は「例年8月は申請が増える傾向があり、当面はこの状態が続くだろう」とみる。市は審査のスピードアップを国に要望している。

 原爆症認定の基準見直しは、日本被団協の提唱で03年に始まった集団訴訟がきっかけ。国の敗訴が続く中で昨年8月、安倍晋三首相(当時)が見直しを指示した。新基準となった4月以降の全国分の審査件数は、22日現在で584件。うち513件を原爆症と認めた。

(2008年7月23日朝刊掲載)

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