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「ヒロシマの悲劇を心に」 NPT議長が平和公園訪問

 米ニューヨークで27日に始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議を前に、議長を務めるアルジェリアの外相顧問タウス・フェルキ氏が3日、広島市の平和記念公園(中区)を訪れた。原爆資料館を見学し、被爆者とも対面。「ヒロシマの悲劇を心に留め、会議の成功に尽力する」と、決意を新たにした。

 フェルキ氏は初の広島訪問。資料館では、被爆者の写真や黒焦げの弁当箱などの遺品に見入り、時折、つらそうな表情を浮かべた。原爆慰霊碑に花輪を手向け、犠牲者を追悼。その後、報道陣に「心動かされた。国境、宗教、人種を越え、核兵器に反対しないといけない」と述べた。

 広島国際会議場で、あの日の体験を伝えた被爆者の池田精子さん(82)=安芸区=は「原爆の悲惨さに理解を深めてもらえたと思う。核兵器廃絶へ、力を発揮してもらえると信じる」と話した。

 市によると、市長との非公開の会談で、フェルキ氏は非人道性に焦点を当てて核兵器の非合法化を目指す非核兵器保有国や非政府組織(NGO)の動きに関し、「今回の会議でも人道上の問題は無視できない」と発言したという。

 フェルキ氏は、NPT再検討会議に向けた意見交換のため外務省の招きで1日に来日し、2日に広島市入りしていた。4日、長崎市を訪れ、5日に離日する。(田中美千子)

(2015年4月6日朝刊掲載)

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