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「ノグチの欄干」修復 西平和大橋 復興の象徴 趣損ねず

■記者 馬上稔子

 乗用車の単独事故で4カ月間壊れたままになっていた、広島市中区の西平和大橋の欄干の一部が3日、取り換えられた。彫刻家イサム・ノグチの設計で、被爆地の復興を象徴する橋。市によると、表面の補修などはしてきたが、構造体の交換は1952年の完成以来初めてという。

 平和記念公園の南西の橋上でこの日、作業員5人が、上流側に2本ある欄干(直径約15センチ)のうち上部中央の破損箇所を含む約3.5メートルを切断。特注の鉄筋入りコンクリート製欄干をはめ込み、ボルトと樹脂で固定した。

 歴史的な趣を損なわないよう、2日間かけて表面をセメントモルタルで覆うなどして質感や色を整える。8日までに終える。事故当事者が工事発注し、費用を負担する。

 事故は1月下旬、乗用車が衝突。路面から高さ約80センチの欄干のコンクリートが割れて鉄骨が曲がった。市が指導し、修復方法を検討してきたという。近くに住む男性(81)は「元に近い状態にはなるのだろうが、歴史ある橋なので残念」と話していた。

(2011年6月4日朝刊掲載)

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