×

ニュース

被爆石材 記憶継ぐ 原爆ドーム100年 元安川で採集 広島大生ら 観光客に惨禍を訴え

 原爆ドーム(広島市中区)が前身の県物産陳列館として誕生し100年を迎えた5日、広島大の学生や職員でつくるグループが、ドームに使われていたとみられる石材などを近くの元安川から引き上げ、観光客に原爆の惨禍を訴えた。被爆70年の節目に、メンバーは核兵器廃絶や平和の実現への思いを新たにした。(菊本孟)

 グループの会長を務める嘉陽礼文(かよう・れぶん)さん(36)たち10人が参加。約1時間かけ、川底をスコップで掘り、手探りで拾い集めた。石材の他、熱線や爆風を浴び表面が粒状に泡立った瓦など約50点を見つけた。

 ドーム前に並べ、被爆前の写真を交えて観光客たちに説明。このほかにも爆風で飛び散った遺物が多く残ることを伝え、核兵器の非人道性を訴えた。東京から観光で訪れた本名隆さん(71)は「若い人たちが記憶を継いでくれる素晴らしい取り組み」と話していた。

 ドームは1915年4月5日に県物産陳列館として完成。県産業奨励館と名称を変えていた45年8月6日に被爆した。96年に世界遺産登録が決まった。

 グループは2009年から元安川で被爆瓦などを見つけ、海外の研究機関に贈っている。嘉陽さんは「ドームは原爆の威力を今に伝えてくれている。できる限り石材などを見つけ、核兵器が二度と使われない世の中を訴えたい」と誓った。

(2015年4月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ