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直接被爆と同じリスク 広島の医療関係者 入市学生の手記研究

■記者 金崎由美

 広島で入市被爆後に重い急性症状に至る経過を詳細につづった医学生の手記から、直接被爆でなくても、当時の滞在場所や行動によっては高い線量の放射線を浴びたのと同様の健康リスクがあったことが分かった。

 福島生協病院(広島市西区)の斎藤紀名誉院長と、広島大原爆放射線医科学研究所の鎌田七男元所長の共同研究。残留放射能などによる外部被曝(ひばく)と内部被曝の複合的な影響を裏付ける内容としている。中区で5日にあった原子爆弾後障害研究会で発表した。  医学生は親類を捜して8月8日に入市後、爆心地そばの本川小などで15日まで救護活動をした。手記の英訳が1951年の米陸軍報告書に掲載された。

 手記には、皮膚に紫斑が表れた日にち、毎日の体温変化や投薬記録を克明に記述。症状の経過から斎藤氏らは、2~4シーベルト被曝による急性放射線症候群に相当すると判断した。

 医学生の行動を基に推定した、土壌からの外部被曝はごくわずかだった。斎藤氏は「入市被爆者は、鉄筋の建物やがれき、死体処理や救護作業、粉じんなどさまざまな状況で放射線の影響を受けていた。実態に即し入市被爆を考えるべきだ」と話した。

(2011年6月6日朝刊掲載)

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