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山口県議選 30キロ圏7選挙区候補アンケート 山口県判断 評価割れる 上関原発予定地 埋め立て免許延長保留 

計画賛否 過半数が態度不鮮明

 12日投開票の山口県議選で、中国新聞防長本社は中国電力が上関町で計画する上関原発建設予定地から半径30キロ圏内にある7選挙区(総定数17)の候補者計25人にアンケートを実施した。計画の賛否は「どちらとも言えない」が最多の14人(56%)。自民党(13人)のほとんどが態度を鮮明にせず、自民党以外(12人)では反対の立場が3分の2を占めた。中電が申請した公有水面埋め立て免許の延長で、判断を保留する県の姿勢への評価は割れた。(統一地方選取材班)

 上関原発計画の賛否で「どちらとも言えない」と応えた14人の内訳は、自民党10人(現職9人、新人1人)、無所属4人(現職1人、新人3人)。無所属の現職1人と新人1人は民主党推薦で、ほかの新人2人は自民党の元支部幹部と元衆院議員秘書だった。

 反対の立場は8人で、うち「反対」は7人だった。現職は民主党と諸派の各1人の計2人で、他の5人は共産党新人1人と無所属4人(元職1人、新人3人)。反対を掲げて現職に挑む構図の多さを反映した。「どちらかと言えば反対」は公明党現職1人だった。

 賛成の立場は、「どちらかと言えば賛成」とした自民党現職1人だけ。周南市と上関町・田布施町・平生町の自民党現職の計2人は回答しなかった。

 上関原発の建設工事は、福島第1原発事故を受けて2011年3月に中断。中電は免許期限が切れる直前の12年10月、3年延長を申請した。故山本繁太郎前知事は当初、不許可の意向を示したが、13年3月に方針転換して可否判断の1年程度の先送りを表明。村岡嗣政知事も14年5月、同様に判断を保留した。

 県の対応への評価は「妥当だ」が11人、「どちらかと言えば妥当だ」が2人で、理解を示す立場は計13人。うち12人は「県政与党」を自任する自民党(現職11人、新人1人)だった。

 「不適切だ」6人、「どちらかと言えば不適切だ」1人で、県に批判的な立場は計7人だった。現職は民主党と諸派の計2人で、無所属元職1人、新人は共産党1人、無所属2人。「どちらとも言えない」は5人だった。

 二つの質問に関連して50字以内で意見を尋ねた。自民党では「エネルギー政策は国の所管事項」「県は適切に対応している」との回答が目立った。自民党以外では「直ちに不許可にするべきだ」との意見の一方、「国が方向性を示すべきだ」との声も出ていた。

 ≪調査の方法≫上関原発の建設で「緊急防護措置区域(UPZ)」となる半径30キロ圏に一部でもエリアが入る7選挙区の候補者25人に3月中旬、用紙を配布、全員から回答を得た。質問は次の3問。

 【問1】中国電力が上関町で原子力発電所の建設を計画しています。上関原発建設計画への考えとして最も近いものを一つ、選んでください。
①賛成
②どちらかと言えば賛成
③どちらとも言えない
④どちらかと言えば反対
⑤反対

 【問2】中国電力が申請している上関原発建設予定地の公有水面埋め立て免許の延長で、県は「許可、不許可を判断できる十分な材料がない」として6度目の補足説明を求めています。判断を保留している県の姿勢をどう評価しますか。最も近いものを一つ、選んでください。
①妥当だ
②どちらかと言えば妥当だ
③どちらとも言えない
④どちらかと言えば不適切だ
⑤不適切だ

 【問3】上関原発建設計画と埋め立て免許の延長申請をめぐる県の姿勢について、考えを50文字以内で示してください。

【岩国市・和木町】
松田一志(共・新)
 問1 ⑤
 問2 ⑤
 問3 判断を先送りし、時間を経過させ、国による建設の号令を待っている。直ちに延長申請を不許可にするべきだ。

槙本利光(自・現)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 原発をどのようにするかは国の問題。埋め立て免許については、県は、法に基づき適切に対応していると思う。

山手康弘(自・新) 
 問1 ③
 問2 ②
 問3 県は国の政策に協調しながら施策を推進している。埋め立て免許の延長申請について慎重に対応している。

井原寿加子(諸・現)
 問1 ⑤
 問2 ⑤
 問3 国の判断を待ち、理由もなく引き延ばしているのは明白。県は許可権者として、一日も早く不許可とすべきだ。

渡辺靖志(無・新)
 問1 ⑤
 問2 ④
 問3 現時点において周辺住民の理解を得るのは難しいことから新設は困難。国が原発ゼロへの道筋を示すべきだ。

橋本尚理(自・現)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 エネルギー政策は、国の専管事項であるので、国の責任において、安全性等を十分議論して決定すべきである。

畑原基成(自・現)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 原発などエネルギー政策は国の所管事項。また埋め立て免許については、県は法に基づき適切に対応している。

【柳井市】
山本達也(無・新)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 原発をどのようにするかは国の問題。埋め立て免許については、県は、法に基づき適切に対応していると思う。

星出拓也(自・現)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 免許権者として法に基づき適正に審査を進め、正当な事由の有無をもって判断するのが県の責務と考える。

【光市】
西崎孝一(無・新)
 問1 ⑤
 問2 ⑤
 問3 埋め立て免許権者としての県の権限を自ら放棄するに等しい。県の事は、県が自主的に決めるべきである。

河野亨(自・現)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 エネルギー政策は国策であり、県は、公有水面埋立法に基づき、審査を尽くし、適切に対応すべきである。

秋野哲範(無・現)
 問1 ③
 問2 ③
 問3 この4年間凍結され、喫緊の課題ではない。地域住民の意向も踏まえ、国が責任をもって方向性を示すべきだ。

【下松市】
古賀寛三(無・新)
 問1 ③
 問2 ③
 問3 土地利用計画が埋め立て免許の要件となっていることから早期に国が方向性を示すべきだ。

国井益雄(自・現)
 問1 ②
 問2 ②
 問3 国のエネルギー政策を見ながらも、地元上関の意向は最大限尊重するべきだと思う。

守田宗治(自・現)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 原発をどのようにするかは国の問題。埋め立て免許については、県は、法に基づき適切に対応していると思う。

【周南市】
河村敏夫(自・現)
 問1 ③
 問2 ③
 問3 国のエネルギー政策がはっきり示されない時点での判断は難しい。

上岡康彦(公・現)
 問1 ④
 問2 ③
 問3 エネルギー政策は国が地元意見を尊重して進めるべきだ。中電から適切な補足説明があれば判断を下すと思う。

藤井律子(自・現)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 国のエネルギー政策の動向を引き続き注視する必要がある。変更申請への対応は免許権者として妥当なもの。

戸倉多香子(民・現)
 問1 ⑤
 問2 ⑤
 問3 民主党は原発の新増設はしない方針。県は申請者のためにも公有水面埋立法にのっとり速やかに判断すべきだ。

友広巌(自・現)
 問1 -
 問2 ①
 問3 埋め立て免許については、公有水面埋立法によって、適正に審査されるものと考える。

新造健次郎(無・新)
 問1 ③
 問2 ③
 問3 原発は国策である。国の意見、考えを尊重したうえで、地元の意見をしっかり聞いて対応するべきである。

【周防大島町】
田中豊文(無・新)
 問1 ⑤
 問2 ⑤
 問3 埋め立て免許権者として速やかに判断すべきであり、補足説明の過程も含め県民に十分な説明が必要である。

柳居俊学(自・現)
 問1 ③
 問2 ①
 問3 原発をどのようにするかは国の問題。埋め立て免許については、県は、法に基づき適切に対応していると思う。

【上関町・田布施町・平生町】
吉井利行(自・現)
 問1 -
 問2 ①
 問3 国策への協力、地元の意向の尊重との基本姿勢のもと、法に基づき適正に審査するとする県の姿勢は妥当。

小中進(無・元)
 問1 ⑤
 問2 ⑤
 問3 免許に対する県の判断期限は32日。すでに2年半を経過。公的機関が民間企業に便宜を図るのも法律違反。

【注】選挙区ごとに届け出順。敬称略。問1で回答をしなかった場合は「-」とした。

(2015年4月7日朝刊掲載)

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