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社説・コラム

永田町発 日韓関係 打開策は 自民・河村建夫氏(山口3区) 首脳会談へ雰囲気醸成

 悪化した日韓関係の打開策を探ろうと、両国の首相経験者や財界人たちでつくる「賢人会議」が3月に発足し、メンバーに自民党の河村建夫氏(山口3区)が加わった。河村氏は中国新聞のインタビューで、5月末に韓国を訪れ、朴槿恵(パク・クネ)大統領に早期の首脳会談開催を要請する意向を示し、「首脳会談をやりやすい空気をつくっていきたい」と強調した。(清水大慈)

 ―都内で開いた賢人会議の初会合の成果は。
 率直に意見交換できた。韓国の李洪九(イ・ホング)元首相が日韓の国交が正常化した50年前の話を持ち出した。韓国側は当時、朴氏の父親の朴(パク)正(チョン)熙(ヒ)大統領、日本側は安倍晋三首相の大叔父の佐藤栄作元首相。李氏は「ゆかりの深い2人がトップなのに」と憂えていた。「苦労して築いてきた両国の関係が崩れるのは耐えられない」という韓国側メンバーの声も印象深かった。

 ―従軍慰安婦問題や歴史認識問題をめぐっても意見交換しました。
 それらの問題により互いに信頼をなくしている。だが、お互いに「このままではいけない」と思っているのは間違いない。

 ただ会合で韓国側は、日本の外務省の日韓関係を紹介するホームページから、これまで使っていた「基本的な価値を共有する」との文言が削除されたことに強い遺憾の意を示していた。安倍首相が今月29日、米国の上下両院合同会議で演説する内容も注視しているだろう。

 ―安倍首相の戦後70年談話も注目されています。
 村山談話については、歴代内閣と同様、踏襲の方向でいいと思う。首相も「全体として引き継ぐ」と言っている。未来へ向け、日本がここまで頑張ってきたことに対し誇りを持つべきだという考え方も入っていいのではないか。

 ―首脳会談のめどは。
 両首脳は先日のシンガポール元首相の葬儀で会っている。安倍首相にその時の様子をうかがうと「決して悪くはなかった」と言っていた。お互いに一歩を踏み出せば道は開ける。

 ―賢人会議はどんな役割を果たしていきますか。
 両国の国民や経済界に、首脳会談の実現に向けた雰囲気をつくっていくしかない。5月末にソウルで次回会合を予定している。その時、朴氏に会い、早く首脳会談を開くよう頼みたい。

 隣国なのでいろいろとあるが、切っても切れない関係だ。深く、さまざまな交流があって今日がある。お互い寛容になるべきだ。

(2015年4月8日朝刊掲載)

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