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ハワイ日系人 歩み知って 山口県周防大島の資料館 中村一三郎さんコーナー刷新

 山口県周防大島町西屋代の日本ハワイ移民資料館は7日、米国ハワイ州で日本語教育に尽力した日系2世の中村一三郎さん(1906~2004年)が寄贈した資料を展示するコーナーを一新した。ハワイの日系人の暮らしぶりや、太平洋戦争中の苦難の様子などが伝わってくる。(久行大輝)

 コーナーには、「中村一三郎氏の歩み」と題して、年表や写真、説明文を掲載したパネル(縦1・1メートル、横3・6メートル)を新たに設けた。1906年4月7日にハワイ島で生まれた中村さんは、5歳で両親とともに旧大島町に帰郷。31年、日本語学校の教員として再びハワイ島に渡った。

 ラナイ島の日本語学校の校長だった中村さんは太平洋戦争中、「どちらが勝つことを望んでいるか」との当局の問いに、「どちらも勝たないで平和になることを望んでいる」と答えた。その後、本土の収容所に送られたエピソードなどが説明されている。

 コーナーには、中村さんが収容所時代に作った木工製品や、当時の写真が張られたアルバムも並ぶ。また、日本語学校の教務資料、移民関連の新聞記事なども展示している。

 日系人の日本語教育に尽力した後、71年に65歳で旧大島町に戻った中村さん。99年の資料館オープン時に「移民の歴史を伝えてほしい」と約350点を寄贈した。

 今回の事業費は約250万円。一部は中村さんの親族からの寄付を活用した。木元真琴館長は「中村さんが残した記録は、生きた資料として大変貴重。多くの人に見てほしい」と呼び掛けている。

(2015年4月8日朝刊掲載)

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