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反戦平和の願い 永遠に 四国五郎さん追悼・回顧展 広島

 戦争体験や肉親を奪った原爆への怒りを作品に込め、被爆地から発信し続けた画家四国五郎さん(1924~2014年)の追悼・回顧展「優しい視線・静かな怒り」が8日、広島市中区の旧日本銀行広島支店で始まった。反戦平和への思いを真っすぐ届ける多彩な作品群が、来場者を引きつけている。20日まで。

 母子像を通して時代を映す油彩画、古里広島の風景を描いた水彩画、絵本の原画など計約300点を紹介。表紙絵を手掛けた峠三吉の「原爆詩集」をはじめ、米占領下の広島で峠らと活動した詩誌「われらの詩」や辻詩、シベリア抑留時代の資料も並ぶ。

 四国さんが描いた故高橋昭博・元原爆資料館長の被爆体験を掲載する米マサチューセッツ工科大のインターネットサイトのコーナーも。創設者ジョン・ダワー同大名誉教授が寄せた「四国五郎の情熱的な反戦芸術は傑出しており、悲劇の記憶の方法の一つとしてかけがえのないもの」とのメッセージも披露されている。

 主催した有志の会メンバーで画家のガタロさん(65)=安佐南区=は「四国さんのまなざしを通じ、多くの人にヒロシマを考える時間を持ってほしい」と話す。開会セレモニーでは、四国さんが絵を手掛けた「絵本 おこりじぞう」の朗読もあった。(森田裕美)

(2015年4月9日朝刊掲載)

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