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ドーム100年 「健診」終了 広島市が足場撤去開始 4ヵ月ぶり姿現す

 広島市は8日、世界遺産の原爆ドーム(中区)で健全度調査の現地作業を終え、覆っていた足場の撤去を始めた。完成から100年を迎え、被爆の惨禍を物言わぬまま語るヒロシマの象徴は今月下旬、約4カ月ぶりに全体像を見せる。

 市の委託業者9人が、高さ約25メートルのドームの周りに組んだ鋼製の足場の資材や、落下物を防ぐネットを上部から取り外していった。2~3週間で撤去を終えるという。

 市は昨年12月から40カ所で地盤沈下、8カ所で壁面の傾きを調べたほか、ひび割れや鋼材の腐食具合をチェックした。5月下旬以降にまとめる調査結果を有識者たちの原爆ドーム保存技術指導委員会に報告し、必要に応じて補修する。

 市は健全度調査を1992年度から原則3年に1度、劣化状況を把握するために実施しており、8回目。今回の調査に合わせ、これまでに判明していた窓の柱などのひび割れ約100カ所を補修した。

 観光で初めて訪れたという沖縄県豊見城市のネイリスト宜保梢さん(32)は「核兵器や戦争の怖さが伝わってきた。しっかり調べて、保存してほしい」と願った。(川手寿志)

(2015年4月9日朝刊掲載)

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