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先人の縁 教育交流に 興譲館高/フィリピン モンテンルパの高校 井原の故住職 顕彰が橋渡し

 井原市の興譲館高は5月、フィリピンのモンテンルパ市立科学高と教育交流を始める。井原市の宝蔵院の故加賀尾秀忍(かがおしゅうにん)住職(1901~77年)が戦後、モンテンルパ市のニュービリビッド刑務所に収容された日本人戦犯の助命に尽力したことが縁で実現した。(小川満久)

 モンテンルパ市側が5月、日本語を学ぶ生徒4人と日本語教師1人を興譲館高に2週間派遣する。生徒は授業に出席するほか、茶道や書道体験などを予定する。興譲館も今夏、生徒数人を約2週間派遣。現地でホームステイしながら授業を受け、ニュービリビッド刑務所なども見学する。

 加賀尾住職の顕彰に取り組む興譲館高の高橋雅広理事と森田美和教頭が昨秋、モンテンルパ市を訪問。フレスネディ市長から教育交流の打診があり、ことし3月に調印した。

 8日には、モンテンルパ市の委託を受けて日本との交流を担当する大沢一郎さん(73)が興譲館高を訪れ、交流内容などを確認。将来的には長期留学の実現も目指すという。

 大沢さんは「住職ゆかりの地で、両国友好を担う人材の育成をしたい」。森田教頭は「両校生徒の国際感覚がより磨かれるような教育プログラムを練りたい」と意気込む。

 加賀尾住職は1949年、ニュービリビッド刑務所の教誨師(きょうかいし)として赴任。死刑囚2人が作詞、作曲した歌を日本に送り、歌手渡辺はま子がレコード化。加賀尾住職が、オルゴールをキリノ大統領に渡して釈放を求め、53年に日本人108人の帰国に結び付けた。

(2015年4月9日朝刊掲載)

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