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映画製作資金 ネットで公募 広島・呉舞台のアニメ 来月まで

 第2次世界大戦末期の広島、呉を舞台にしたアニメ映画「この世界の片隅に」の製作会社2社が、公開に向けた資金の提供を、インターネット上で公募するクラウドファンディング(CF)を通じて呼び掛けている。3月上旬の募集開始から1週間余りで目標の2千万円を突破したが、さらに多くの人に映画製作を知ってもらおうと、当初の予定通り5月29日まで募る。

 広島市西区出身の漫画家こうの史代さん(46)の漫画が原作で、アニメーション映画監督の片渕須直さん(54)が手掛ける。約4年をかけて準備作業を進め、シナリオと絵コンテが完成。CFは、次のステップに進むためのスタッフ確保やパイロットフィルムを作るために使う。公開は2016年夏を目指している。

 物語は、広島市の江波で生まれ、軍港都市・呉に嫁ぐ女性が主人公。一家の主婦となり、あらゆる物資が欠乏していく中、工夫を凝らしながら暮らす。空襲や原爆で大切な人を奪われながらも、けなげに日々の営みを築いていく姿を描く。

 CFを呼び掛けている2社は、MAPPA(東京)とジェンコ(同)。9日夕現在、2125人から計約2471万円が寄せられている。当初から、こうのさんや片渕監督のファンを中心に反響を呼び、CF運営会社によると、映画製作のCFでは国内最多額となっている。

 支援する方法は、2千~100万円の計6コース。出資額に応じて特典があり、こうのさんの描き下ろしイラスト入りはがき、7月に広島などで予定される片渕監督のトークや本編の一部が披露されるイベントへの参加、エンドロールへの名前の記載などを計画している。  片渕監督は「大勢の方から支援をいただきありがたい。さらに多くの人に知ってもらえるよう、できるだけのことをしたい」と語っている。

 出資はCFのサイト(https://www.makuake.com/project/konosekai/)から。(石井雄一)

(2015年4月10日朝刊掲載)

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