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駐日露大使「抗議は見当違い。根拠ない」 広島市に反論返書 露大統領の「核準備」発言

 核兵器使用の可能性を示唆するかのような言動が相次いだロシアのプーチン大統領に抗議文を送った広島市に、東京のロシア大使館から返書が届いた。「実際の発言を誤って解釈し、根拠のない抗議だ」と真っ向から対立する内容。市が10日、明らかにした。

 エフゲニー・アファナシエフ大使名の9日付の文書で、同日にファクスで送られてきた。ロシアは核拡散防止条約(NPT)を支持し、核軍縮を進めていると主張する一方、米国のミサイル防衛(MD)の強化などを「戦略的安定に悪影響を与える」と批判。「(ロシアは)国際社会の注意を喚起しようとしている。市の批判は完全に見当違いだ」と言動を正当化している。

 安全保障を米国の「核の傘」に委ねる日本の姿勢を「被爆者の平和への思いと矛盾する」とも指摘する。

 市平和推進課は「被爆地の思いが伝わらず残念。どの国でも、どんな事情があっても、核兵器の惨禍につながるような言動は許さない」としている。

 市は、昨年のウクライナ危機の際に核兵器使用の準備をロシア軍に指示したという先月中旬のプーチン大統領の発言などを受け、この3日に抗議文を送っていた。同様の抗議文を出した市議会にも9日、ほぼ同じ内容の返書が届いた。(田中美千子)

(2015年4月11日朝刊掲載)

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