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情感豊か 朗読CDに 丸木俊「ひろしまのピカ」

 夫の丸木位里(1901~95年)と「原爆の図」を共同制作する一方で、多くの絵本も世に送り出した画家丸木俊(1912~2000年)。1980年に小峰書店から刊行された「ひろしまのピカ」の朗読CD=写真=が完成した。

 14カ国語に翻訳され、20カ国以上で読み継がれている「ひろしまのピカ」は、広島で被爆した7歳の女の子が、母親と一緒に逃げまどいながら目にした惨状を伝えるストーリーだ。

 CDは、本編(19分36秒)に加え、俊によるあとがき「ひろしまのピカにそえて」(6分12秒)を収録する。朗読は、東日本大震災後、福島での朗読ボランティアにも取り組む俳優の岡崎弥保さん。登場人物の母親の「ピカは、ひとがおとさにゃ、おちてこん」との言葉や、俊による「これは、孫たちへの遺言なのです」といったメッセージが、情感のこもった語りで、重く響く。

 俊は45年、住まいのあった埼玉で夫の故郷広島への新型爆弾投下を知り、数日後に入市。50年に大作「原爆の図」(第1部「幽霊」)を発表した。その後も夫妻で連作を描き続けた。

 被爆70年を機に、俊が絵と言葉に託した思いをあらためて若い世代に伝えようと、パンローリング(東京都新宿区)がCD化した。864円。Tel03(5386)7396。(森田裕美)

(2015年4月14日朝刊掲載)

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