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旧制崇徳中4年 被爆体験 手記に 

■記者 金崎由美

「今なら語れる。後世に残そう」 17人 クラス会に区切り

 広島市内の学徒動員先で原爆に遭った旧制崇徳中(現崇徳中・高)の当時の4年生が、体験記集「被爆とその後の歩み」を作った。高齢化を理由に一昨年、クラス会を最後とした区切りを兼ね、新原清人さん(81)=安佐南区=が「体験を後世に残そう」と呼び掛けた。

 新原さんたちは爆心地から約4キロ離れた南観音町(現西区)で被爆。自宅へ逃げ帰ろうと火の手の上がる市街地へ向かうなどした。

 戦後30年近くがたった1972年からは毎年、同窓会を開いて旧交を温めたが、新原さんが被爆体験を話題にすることはなかった。体験記をまとめようと思い立ったのは、最後のクラス会をした翌年の昨年7月。同級生の法要でメンバーが再会し「つらい体験も今なら語れるかもしれない」と提案し、17人が手記を寄せた。

 その一人、登世岡浩治さん(81)=東区=は被爆直後に「黒い雨」を浴びた体験や、弟を失った悲しみをつづった。米領グアム島在住のフランク・三宅さん(81)は、連合国軍総司令部(GHQ)で働いた後に渡米した人生を振り返っている。

 新原さんは「胸にしまってきた体験を明かし、重い荷物を降ろすことができたような気持ち」と話す。A4判、95ページ。希望者に配る。新原さんTel082(848)2222。

(2011年6月10日朝刊掲載)

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