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祝島分の配分案否決 上関原発の漁業補償 組合員集会 反対姿勢 再確認

 山口県上関町の中国電力上関原発建設計画に伴う漁業補償金をめぐり、県漁協本店(下関市)は14日、祝島支店(上関町祝島)分の補償金の配分方法を決める組合員集会を柳井市の県漁協柳井事業所で開いた。本店が示した配分案は組合員53人のうち28人の反対で否決された。島ぐるみの原発反対運動の象徴だった補償金受け取り拒否を、あらためて確認した形となった。(井上龍太郎)

 本店の仁保宣誠(むべなり)専務理事は非公開の集会後、「誠に残念。今後は組合員から申し出がない限り、私どもからどうこうすることはない」と述べた。本店が管理する支店分の補償金約10億8千万円の扱いは見通せない状況となった。

 集会で本店は、水揚げ量や組合員期間などに基づく配分案を説明した。採決では、補償金の受け取りに反対する組合員28人が13日に提出した否決の議決権行使書を採用。議長を除く52人の投票の結果、賛成24、反対28で否決された。

 同支店は補償金の受け取りを拒否し続けてきたが、2013年2月の集会で賛否が初めて覆り、賛成多数で受け取りを議決した。上関原発は11年の福島第1原発事故を受けて準備工事が中断。「原発はできない」との緩みが出始めていたことが背景にあったという。

 本店は以来4回、配分方法を決める集会を祝島で計画したが、抗議行動などに遭って断念。今回は祝島以外に組合員を招集し、初めて開催にこぎ着けたものの、今回の否決で住民は結束を再確認した格好となった。会場周辺には島内外の原発反対派約110人が集まり、否決を拍手と歓声で喜んだ。

(2015年4月15日朝刊掲載)

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