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原爆孤児支援 歴史語り継ぐ 広島戦災児育成所・童心寺 佐伯区 住民が会結成

 原爆孤児が暮らした広島戦災児育成所と、孤児の心の支えとなった童心寺を後世に語り継ごうと、地元の広島市佐伯区皆賀地区の住民がグループをつくった。戦後70年がたち、育成所と童心寺の歴史を知らない住民が多いためという。当時の職員の聞き取りや資料収集を進め、伝承に取り組む。(河合佑樹)

 「童心寺を次世代に語りつぐ会」として地元住民たち12人が参加して2月に発足。年1回、育成所の元職員たちとの交流会を開いて当時の話を聞くほか、プライバシーに配慮しながら育成所や童心寺に関する本や写真も集める。育成所での孤児の暮らしぶりなどを伝える紙芝居をDVD化し、上映会も計画している。

 育成所は1945年12月、後に参院議員となった故山下義信氏が私財を投じて設立。47年に同じ敷地内に童心寺が建立され、親の冥福を祈る場として孤児たちの心のよりどころとなった。施設が67年に閉園するまで、孤児を中心に計312人が巣立った。跡地には現在、障害者通所施設「皆賀園」が立つ。

 「語りつぐ会」は3月末に初めての交流会を開き、22人が参加。育成所の元職員杉原東良子(とよこ)さん(91)=西区=が記憶を頼りに作った施設内の地図を披露した。会の結成を呼び掛けた皆賀沖町内会の久保田詳三会長(68)は「これまでは地域で語り継ぐ場がなく、原爆孤児を支えた施設と寺があった事実を知らない住民が多い。地域の責任として後世に伝えたい」と話している。

(2015年4月15日朝刊掲載)

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