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原爆症認定 「科学的知見に沿わぬ」 放射線専門家ら意見

■記者 岡田浩平

 厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の第3回会議が13日、省内であり、放射線や司法の専門家ら参考人から意見を聞いた。国の認定審査会である被爆者医療分科会の谷口英樹会長は、原爆症認定集団訴訟での国の連敗を受け、2008年度から緩めた審査基準について「放射線起因性を科学的に証明されていると言えない病気まで認定対象にしており、違和感を覚える」と指摘。国際的、科学的知見に沿わないとした。

 谷口氏はまた、放射線か加齢などの影響か厳密に分けるのは難しい▽認定可否で手当が10万円以上違う―など問題点を明示。「高齢化した被爆者の実態に合う公平な制度を」と求めた。

 国際放射線防護委員会(ICRP)委員で京都大の丹羽太貫名誉教授も科学的な「被爆者研究」を踏まえ、放射線の健康への影響について意見を述べた。

 一方、元東京高裁判事の岩井俊氏は、認定についての司法と分科会判断の隔たりに関し「科学的に確立された基準を想定し、個々の事件についての具体的な事実関係を総合して判断するとしかいいようがない」と述べた。

 参考人のヒアリングは前回1月27日の被爆者らに続き2回目。今月27日の次回会議は集団訴訟の原告側弁護士や医師の意見を聞く。

(2011年6月14日朝刊掲載)

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