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ケネディ米大使 原爆資料館見学 広島 カープ戦始球式も

 原爆を投下した核超大国、米国のキャロライン・ケネディ駐日大使が17日、広島市中区の平和記念公園で着任後初めて原爆慰霊碑に献花し、原爆資料館を見学した。ハナミズキの植樹式や地元大学生との意見交換会にも臨み、市民との交流を通じて日米友好をアピールした。南区のマツダスタジアムでは広島東洋カープ―中日戦の始球式をした。

 平和記念公園では松井一実市長の先導で慰霊碑へ。花輪を手向けた後、頭を深く下げ、犠牲者を悼んだ。資料館では広島平和文化センターの小溝泰義理事長の説明を聞きながら、被爆直後の市街地を再現した模型や黒焦げの弁当箱を見詰めた。芳名録には「ここを訪れる全ての人が問題を抱えるこの世界で平和のために尽くす決意を新たにすべきだ」と記した。

 近くの平和大通り緑地帯では、日米合同の友好プロジェクトで、米政府が市へ贈ったハナミズキ70本のうち2本を小中学生たちと植樹。出席者を前に「両国の70年にわたる平和と友好を記念したい。広島の人びとは勇気、立ち直る力、平和と核不拡散のコミットメントを通し、世界を鼓舞してきた」とあいさつした。

 また南区の広島大霞キャンパスにも赴き、海外留学に関心を持つ広島大の学生や大学院生計11人と意見交換した。米国留学の経験がある大学院2年中邨(なかむら)早希さん(23)=東広島市=は交流終了後、「留学中に原爆投下は正しいとする考えの根強さを感じただけに、大使が被爆地に来てくれるのはうれしい」と話した。

 夕方には、マツダスタジアムで始球式の投手を務めた。黒田博樹投手とキャッチボールをし、ボールの握りも教わってマウンドへ。背番号15のユニホームを着て左腕からノーバウンド投球を見せ、笑顔でスタンドのファンに手を振った。

 大使は1978年、20歳の時に叔父で上院議員の故エドワード・ケネディ氏に同行して広島市を訪れた。2013年11月に着任し、14年8月6日の市の平和記念式典に参列したが、慰霊碑への献花や資料館の見学はしなかった。(田中美千子、川手寿志、矢野匡洋)

(2015年4月18日朝刊掲載)

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