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原爆・平和報道 あり方探る 中区でシンポ「ヒロシマを世界へ」

■記者 二井理江

 シンポジウム「ヒロシマを世界へ―原爆・平和報道を考える」(中国新聞社主催)が12日、広島市中区の広島国際会議場であった。被爆の実態や、福島第1原発事故を踏まえ、人類と核のあり方を見つめる報道の必要性が話し合われ、約210人が聞き入った。

 最初に、NHK広島放送局の杉浦圭子アナウンサーが「ヒロシマに生まれて」と題して講演。原爆に関する放送の仕事を通して「命の大切さ、一人一人の存在の重さを教えてもらった」と語り、ヒロシマを「進むべき選択をする際に最優先すべき『羅針盤』にしている」と、被爆2世としての思いも重ねた。栗原貞子、林幸子さんらの原爆詩や被爆者の手記も朗読した。

 続いて、平岡敬元広島市長や、広島市立大の井上泰浩教授、米オービリン大のアン・シェリフ教授、中国新聞社の田城明ヒロシマ平和メディアセンター長がパネル討議。「原爆投下に至った戦争の総括をし、米国の『核の傘』を問い直す必要がある」「原子力エネルギーの安全神話を検証するべきだ」などの問題提起がなされた。

 ヒロシマの訴えや報道を世界へ広げるには「インターネットを使った発信が重要」との指摘があり、「核兵器廃絶の先に、どんな社会をつくろうとしているかを言わないといけない」との求めが出た。

(2011年6月14日朝刊掲載)

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