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「あの日」の悲劇 絵で訴え 基町高の富田さん、被爆者体験描く 広島

米で発信 箕牧さんに託す

 広島市中区の基町高2年富田真衣さん(17)=呉市=が20日、被爆者の箕牧(みまき)智之さん(73)=北広島町=から聞き取った70年前の「あの日」の光景を描き上げた。核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて渡米し現地で体験を話す箕牧さんに託し、絵を通じて原爆の悲惨さと平和への思いが米国の若者に届くよう願った。(田中美千子)

 縦28センチ、横38センチの水彩画。道に立ち尽くし、赤黒く染まった空から降ってくる焼けた紙のようなものを見る男児を描いた。原爆投下時、飯室村(現安佐北区)にいて、市内から帰らぬ父を自宅そばの道で待った箕牧さんの「あの空を見上げた時の心細さを忘れない」との思いを表した。

 同校創造表現コースの生徒は、被爆者の話を聞いて「原爆の絵」を描いている。その縁で制作を頼まれた富田さんは3月半ば、安佐北区を訪ねて写真を撮り、春休みに下絵を描いた。「不気味な空の色を出すのに苦労した」という。

 この日、同校で絵を受け取った箕牧さんは「満点の出来。話が伝わりやすくなる」と感謝した。県被団協(坪井直理事長)副理事長として日本被団協の代表団に加わり、24日に渡米後、米国の高校などで原爆の悲惨さを訴える。富田さんは「平和のために役立てると思うとうれしい」と話した。

(2015年4月21日朝刊掲載)

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