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被爆体験伝承者 1期生デビュー 追悼祈念館で講話会 広島市

 被爆者の記憶と平和への思いを受け継ごうと、広島市が養成した「被爆体験伝承者」が20日、デビューした。1期生50人のうち2人が国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)であった講話会で語った。毎日、交代で講話会に参加するなどし、あの日を伝える。

 平和記念公園(同)などでボランティアガイドを務める青木圭子さん(62)=安佐北区=は爆心地から約2・3キロ離れた工場で被爆した梶本淑子さん(84)=西区=の体験を発信。資料を一切見ず、身ぶり手ぶりを交えて約40分間語り「梶本さんは、あんな地獄を二度と見たくないと強く言っています」と締めくくった。

 傍聴した梶本さんは「ありがとう。体験をそのまま伝えてくれた」と涙ぐんで感謝。名古屋市から訪れた大学教員の女性(57)は「途中から被爆者本人が話していると感じるほど真に迫っていた」と感想を話した。

 やはりボランティアガイドの尾崎美栄子さん(60)=東区=は爆心地から約1・5キロの自宅で被爆した新宅勝文さん(89)=中区=の体験を「伝承」した。被爆当時の写真や英文の資料を見せて英語で説明し、訪れた外国人観光客たちが真剣な表情で聞き入った。

 市は2012年度から被爆体験伝承者の養成事業を開始。1期生108人のうち、約3年の研修を終えた30~70歳代の50人を今月9日に認定した。毎日の講話会や、学校などで語ってもらう。(和多正憲)

(2015年4月21日朝刊掲載)

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