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福島原発事故 健康管理 積極関与を HICARE 国に提言書提出

■記者 荒木紀貴、岡田浩平

 福島第1原発事故を受け、広島県や広島市などでつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)は14日、首相官邸に対し、原発周辺住民の健康管理のための提言書を提出した。国が積極的に関与し、内部被曝も含めた影響を追跡調査するように求めた。

 湯崎英彦知事と、HICARE会長の土肥博雄広島赤十字・原爆病院長らが首相官邸で福山哲郎官房副長官と面会。外部被曝だけでなく内部被曝も視野に入れる▽血液など生物試料を保存できる施設と大学付属機関の整備▽第三者機関による評価―など5項目の提言書を手渡した。

 その上で、湯崎知事は「被爆地が蓄積してきた知見を活用してほしい。オールヒロシマでバックアップしたい」と表明。福山副長官は「大きな知見が必要で歓迎する。長崎も含めオールジャパンで力添えをいただきたい」と応じた。ただ、今後の国の方針に関する具体的な説明はなかったという。

 放射線被害をめぐっては、福島県が202万人の全県民の問診を今月中に始める方針を決定。国も被災者対応の工程表で「地域住民の長期的な健康管理」を明記している。

 HICAREの提言に関し、枝野幸男官房長官はこの日の記者会見で「十分参考にさせてもらう」と強調。「福島県などとさらに相談を進め、住民の健康を長期にわたってしっかりと守ることに国として責任を果たしたい」と述べた。

(2011年6月15日朝刊掲載)

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