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原発交付金 上関町長が強い懸念 見直しなら「財政揺らぐ」

■記者 久保田剛

 山口県上関町への原発建設計画で、建設に伴う国の交付金を主な財源の一つとする同町の柏原重海町長は14日、福島第1原発事故を受けた国の原子力政策の見直しによる町財政への影響に強い懸念を示した。同日開会した町議会定例会の本会議で見解を述べた。

 柏原町長は行政報告で、国がエネルギー政策の見直しを打ち出し、上関原発計画の今後も不透明になっていると指摘。「今後の展開次第では町は財政面で大きく揺らぎ、暮らしの支援やまちづくりなど、抜本的な見直しを行わざるを得ない状況になる」との見通しを示した。

 原発立地を前提とする国の交付金について「来年度以降は全く予測がつかない事態」としたうえで「(町の)原発計画推進は過疎高齢化を克服するがため、財源の安定を図るがため。非常に危惧している」と述べた。

 町は原発関連の交付金を使って温浴施設を建設中。多目的ホールなどを備えた総合文化センターや、地元産の農産物を販売する市場も2012年度中の完成を目指している。

 上関原発が着工予定の12年度から22年度までに新たに約86億円の電源立地地域対策交付金を受け、一部は基金に積み立てて同センターなどの維持運営費に充てることを計画している。柏原町長は報道陣に対し、来年度以降の交付金が出ない場合の総合文化センターと市場の完工時期について「延期せざるを得ないだろう」との認識を示した。

(2011年6月15日朝刊掲載)

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