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日本 「核の傘」に固執 被爆国の姿勢 矛盾はらむ 日米防衛指針改定

 18年ぶりの再改定となった日米防衛協力指針(ガイドライン)には、1997年の前回に引き続いて米国による核抑止力の保持が明記された。核兵器の非人道性に関する議論や禁止条約への機運が高まる中、唯一の戦争被爆国でありながら、「核の傘」に固執する日本のスタンスを浮き彫りにした。 (ニューヨーク発 藤村潤平)

 「一層強固で、より大きな責任を共有する日米同盟を内外に発信できる」。米国との交渉の最前線に立った外務省の担当者は、2013年秋から約1年半に及んだ再改定の作業を振り返って胸を張った。

 ガイドライン再改定の要因の一つには、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル実験など「安全保障環境の変化」への対応があった。日本政府が選んだのは、自衛隊と米軍の平時からの協力の充実や連携を進める代わりに、同盟を強化した米国が差し出す「核の傘」で他国をより確実にけん制する道だったともいえる。

 日米両政府が再改定に合意した27日、5年に1度の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開幕した。日本は「被爆国として核兵器のない世界に向けた取り組みをリードするのは使命」とし、被爆70年の節目でもある会議に臨む。

 ただ、その一方で同盟国の核戦力で身を守ろうとする姿勢を、世界はどう受け止めるだろうか。ともに「核兵器のない世界」を目指す両国の同盟強化は、大きな矛盾をはらんでいる。

(2015年4月28日朝刊掲載)

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