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「原爆の火」を手に米国行脚  記録映画「GATE」で紹介

■記者 串信考

 米国内を平和行脚する日本人僧侶の記録映画「GATE」が公開されている。原爆投下直後の広島で採火された「原爆の火」を携えて、サンフランシスコから約2500キロ離れた世界初の核実験場トリニティ・サイトまで運ぶ旅。僧侶たちに尊敬のまなざしを向ける米国市民が映し出されている。

 東京で映像製作に従事し、平和活動家でもある米国人のマット・テーラーさんが監督、製作。原爆は戦争終結を早めた-との米国の見方を聞いて育ったが、13歳のとき、広島を訪れて被爆の惨状を知り、疑問を持つようになったという。

 「その言い分には隠されていることがいっぱいある。原爆投下前から日本には降伏への動きがあったのに…」

 僧侶たちの旅は2005年夏、サンフランシスコからトリニティ・サイトまでの道をたどることで、原爆の出発点を同時に終点にして、「原爆の火」を消すことで核兵器廃絶に一歩でも近づくのが狙い。テーラーさんはこの旅を同行取材。映画の題名は旅の終点、核実験場に入る僧侶たちのために開かれたゲートを表している。

 「GATE」では1950-60年代のアメリカの資料映像も。腕で目隠しをして床に伏せた男性が、「核戦争が起きても、こうすれば命が助かるかも」と話す場面があり、日本人との意識のギャップが浮き彫りになる。

 テーラーさんは、映画を見たアメリカ人から「教えられてきたことが事実と違うことを初めて知った、涙が止まらない」と聞いたことを話し、「映画を作ってよかった」とほほ笑んだ。

 「GATE」は広島市安佐南区のTOHOシネマズ緑井で公開。

(2008年7月27日朝刊掲載)

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