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核禁条約 アピール採択 平和首長会議 国連で集会

 2020年までの核兵器廃絶へ取り組む平和首長会議(会長・松井一実広島市長)は29日、米ニューヨークの国連本部で集会を開き、各国の政治指導者へ核兵器禁止条約の交渉開始を促す「ニューヨークアピール」を採択した。広島県主催のパネル討議では湯崎英彦知事が指導者たちの被爆地訪問を提唱。開会中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、ヒロシマの思いを発信した。 (ニューヨーク発 田中美千子)

 平和首長会議のアピールは松井市長が読み上げた。核兵器廃絶へ「単なる目標に掲げるだけでなく、具体的な成果を引き出そうとする政治的意思が不可欠」と指摘。核兵器の非人道性へ国レベルで認識が広がる半面、違法化する条約や同趣旨の法的枠組みに関する交渉をしていない現状に「深い憂慮の念」を表明し、特に核兵器保有国の為政者にリーダーシップを発揮するよう求めた。会議参加国に配るという。

 集会では、世界各地で活動を引っ張る「リーダー都市」に今月就いた17都市のうち、出席したメキシコ・メキシコ市やタイ・バンコク、カメルーン・フォンゴトンゴの首長たちに松井市長が認定証を手渡した。専門委員や非政府組織(NGO)の代表による討論で市民社会の役割の大きさも確認した。

 一方、県は「核兵器の非人道性と法的枠組み」をテーマにパネル討議を開いた。湯崎知事は、特に核保有国のリーダーが被爆地を訪れる大切さを説き、「人間らしい感情を揺さぶり、廃絶への思いに立ち戻らせてくれる。主張や考えが違う人との協働も促す」と訴えた。

 核使用による悲惨な結果をめぐる議論を主導する国の一つ、オーストリア外務省のクメント軍縮軍備管理不拡散局長も参加。「かつてない議論の広まりは、核兵器の存在が合法なのか疑問を持たせた。核軍縮、不拡散を支える希望ともいえる」と述べ、今後も取り組みを続ける姿勢を示した。

(2015年5月1日朝刊掲載)

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