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段階的な核軍縮促す NPT会議で日本など26ヵ国 共同声明を発表

 米ニューヨークで開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、オーストラリアや日本など26カ国が30日、安全保障の重要性に考慮して段階的な核軍縮を進めるよう促す共同声明を発表した。核兵器の非人道性を前面に出してはいるが、非人道性に焦点を当てて核兵器禁止を目指す、他の非核兵器保有国の動きをけん制する狙いがあるとみられる。(ニューヨーク発 田中美千子)

 一般討論演説で、オーストラリアの政府代表が読み上げた。核兵器保有国との「実質的かつ建設的な約束」によってのみ核兵器を廃絶できると強調し、核弾頭数の透明化を図るなど、国家間の信頼醸成を進めるよう主張。包括的核実験禁止条約(CTBT)や、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約などを着実に進めるべきだとしている。

 今回の声明は、4月28日に159カ国の賛同で発表された核兵器の非人道性を踏まえて不使用を訴える共同声明を「歓迎する」としながら、核兵器の不使用に踏み込んでいないのが大きな違いだ。

 賛同国には、ドイツやオランダなど米国と「核の同盟」を組む北大西洋条約機構(NATO)の加盟国が名を連ねているため。日本は二つの共同声明に賛同しているが、早期の核兵器禁止には後ろ向きだ。

 またこの日、核保有五大国の共同声明も英国の政府代表が一般討論演説で発表。「保有国側の前例のない努力」の結果、核兵器数は格段に減り、軍縮で「かなりの進展があった」と自賛した。

 2010年の前回の再検討会議以降、核兵器の非人道性への認識が国際的に深まっているのを背景に「核兵器の使用に伴う深刻な結末を認識し、こうした事態の発生を防ぐ決意を確認する」とも強調。それぞれの安全保障戦略で核兵器が果たす役割を低減する重要性に「留意する」とした。ただ「漸進的かつ段階的な核軍縮が唯一の現実的な選択肢」と主張。26カ国による共同声明と同様、核兵器禁止条約の制定を目指す非保有国をけん制した。

 再検討会議は30日で一般討論演説を終えた。

(2015年5月2日朝刊掲載)

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