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被爆の痛みを高校生発信 NPT会議の国連本部でユースフォーラム 「同じ思いさせたくない」

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれている米ニューヨークの国連本部で4月30日、平和首長会議(会長・松井一実広島市長)主催の「ユースフォーラム」があり、被爆地の高校生たちが核兵器の廃絶と平和への思いを国際社会に発信した。(ニューヨーク発 田中美千子)

 7組計16人が発表した。広島平和文化センターが派遣した福山市の盈進高の生徒2人は被爆者の聞き取りなど活動の成果を紹介。「他の誰にも同じ思いをさせたくない。それが彼らのメッセージです」と訴え、来場した再検討会議の関係者たち約100人から拍手を浴びた。1年の作原愛理さん(15)=府中市=は発表後、「被爆者の崇高な願いを共有したかった。今後も伝え続けようと思えた」と手応えを話した。

 やはりセンターから派遣された広島女学院高、修道高(いずれも広島市中区)の生徒たちも核兵器禁止条約を求める署名集めの様子などを伝え「市民の意識が高まれば政治を動かし、廃絶を実現できる。そのために活動を続ける」「僕らや次世代の命を核兵器に奪われたくない」などとスピーチ。中国新聞ジュニアライターや那覇市の高校生、長崎市、タイ・バンコクの各大学生もそれぞれ取り組みをアピールした。

 非政府組織(NGO)メンバーで地元の牧師、ジェームズ・ヌーナンさん(80)は「未来に向けた素晴らしいビジョン。目を開かされた」と感心した。

 国連本部では同日、広島邦楽連盟のコンサートもあった。広島市の被爆70年事業の一つ。小中学、高校生を含む26人がわらべ歌メドレーなど6曲で歌声や琴の音色を響かせ、国連関係者たち約100人が聞き入った。

NPT会議取材通じ「平和を共有」 ジュニアライターが紹介 国連本部でユースフォーラム

 NPT再検討会議取材のため米ニューヨークを訪れている中国新聞ジュニアライターの2人は4月30日、国連本部で開かれた平和首長会議主催のユースフォーラムで、ジュニアライターとしての活動を英語で紹介した。併せて、日々の取材を通し平和への思いを共有、発信する大切さを訴えた。(ニューヨーク発 二井理江)

 高校2年二井谷栞さん(16)と高校1年溝上希さん(15)が約10分間、スライドを使いながら発表した。被爆証言を聞く「記憶を受け継ぐ」や、平和に関するテーマで連載中の「ピース・シーズ」など、ジュニアライターが中国新聞に掲載している特集を説明。核兵器や世界の情勢に関心を持つと同時に、仲間と話し合う機会が増え、平和な社会に向けて自分たちが何ができるか考えられるようになっていると力を込めた。

 「熱心に聞いてもらえ、楽しくできた」と溝上さん。二井谷さんは「発表後の質疑応答で、長崎の被爆者から若い世代に引き継がれている、と言われてうれしかった」と話していた。

英語のスピーチ原稿はこちら

(2015年5月2日朝刊掲載)

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