×

ニュース

戦後70年 平和を歌う 東広島混声合唱団 6日の定演 最年長の団員 被爆体験語る

 東広島混声合唱団は6日、35回目の定期演奏会を東広島市鏡山の広島大サタケメモリアルホールで開く。節目の定演が戦後70年と重なり、今回は平和をテーマにした。団員は真正面から向き合いたいと誓っている。(金山努)

 第1部では、広島高等師範(現広島大)卒の歌人で、中国を転戦中に亡くなった渡辺直己(1908~39年)を取り上げる。戦地で詠んだ短歌「生きてまた」「照準つけしままの」にメロディーを付けた5曲を披露。戦場に生きた若者の心中を表す歌詞が胸を打つ。

 第3部は東広島交響楽団との合同演奏で、混声合唱とオーケストラのためのカンタータ「土の歌」。第3楽章「死の灰」が広島、長崎の被爆をテーマとしているが、今回は全曲を演奏して歌全体のメッセージを伝える。

 強い思いで今回の定演に臨むのは団員55人の最年長、青山念海(ねんかい)さん(86)。旧制中学4年の時、広島市の学徒動員先で被爆した。自宅は原爆ドーム近くの西蓮寺。原爆投下2日後に戻り、白骨となっていた母を見つけた。

 「火ぶくれし、皮がぶら下がり亡くなっていく多くの人を見た。やけど一つなかった自分に原爆を語る資格はないと思ってきた」。昨年12月、初めてじっくりとあの日のことを団員に話した。涙を流して聞いていたという。

 「定演で平和をテーマにすることはあっても、外国の宗教歌などだった。今回は日本人の本当の声が伝わる曲を選んだ」と常任指揮者光橋紀子さん(68)。自身の年齢、東日本大震災の経験を思い、今回の構成を練った。プログラムには青山さんが数分間、体験を語る場面を入れる。午後2時開演、入場料千円(高校生以下500円)。

(2015年5月2日朝刊掲載)

年別アーカイブ