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核廃絶 保有国が主導を NPT会議 NGOセッション 松井市長が演説

 広島市の松井一実市長は1日、米ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の公式行事「非政府組織(NGO)セッション」で、平和首長会議の会長として演説した。安全保障環境を理由に核軍縮を進めない保有国の姿勢を非難。「今こそ為政者が果断なリーダーシップを発揮し、核兵器の廃絶と、それを可能にする国際環境づくりに取り組む時だ」と訴えた。 (ニューヨーク発 田中美千子)

 松井市長は英語で、お年寄りや女性、子どもたちの命を無差別に奪い、今なお被爆者の心身を苦しめる原爆を「非人道兵器の極みで絶対悪」と強調。2010年の前回再検討会議で核兵器の非人道性に対する強い懸念が示されて以後、国際社会で認識が広がっている現状を歓迎した。

 その上で市民が「核兵器なき世界」へ国際社会の相互理解に努めている中「国家間の相互不信やテロリストの存在が核軍縮を阻むとの主張もあるが、賛同できない」と言明。NPT第6条で加盟国に核軍縮交渉を義務付けていることを挙げて「今まさに加盟国が核兵器禁止条約の交渉を始めるべき時だ」と主張した。

 平和首長会議副会長で長崎市の田上富久市長も「被爆者が生きているうちに核兵器廃絶の道筋を示す責任がある」とアピール。米国やロシアに対し、核弾頭をそれぞれ500個まで削減するよう提言し、核抑止力に頼る国にも非核兵器地帯の設立など主体的な行動を促した。ことしの被爆70年を「核兵器の価値を否定する新たな世界へのターニングポイントにしよう」と呼び掛け、拍手を浴びた。

 広島、長崎の被爆者や国際NGOの代表たちも演説し、各国政府の代表たちが聞いた。この日はNGOセッションに先立ち、核軍縮問題を扱う第1委員会の討議も始まった。

 松井市長は同日、帰国の途に就いた。

(2015年5月3日朝刊掲載)

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