「核の非人道性伝えて」 米原爆関連施設の国立公園化 広島・長崎市長要請
15年5月7日
訪米中の広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長は1日、米国が原爆を開発、製造したマンハッタン計画をめぐり、関連施設の国立歴史公園化を働き掛けた米国の核遺産財団のシンシア・ケリー理事長とニューヨークで懇談した。核兵器の非人道性を伝える内容にするよう要請。ケリー理事長は「事実は包み隠さず伝える」と答えた。 (ニューヨーク発 田中美千子)
懇談で松井市長は「原爆開発の結果、被爆者は心身ともに今なお苦しみ、大量の核兵器も存在する。その事実は明確に示してほしい」と強調。田上市長も「影響力のあるプロジェクトで、多くの人を誤った方向に導く可能性もある。原子雲の下で起きたことも伝えてほしい」と訴えた。同行した被爆者たちも原爆被害の実態を切々と語った。
これに対し、ケリー理事長は米国内でも関連法制定に賛否両論があった経緯を説明。「原爆を賛美する意図はない。多面的な展示にし、訪れた人に解釈を委ねるようにしたい」と述べ、被爆地と意見交換を続ける姿勢を示した。
国立公園の指定を受けるのはニューメキシコ州のロスアラモスなど3地域の関連施設周辺。同財団が保存運動を展開し、昨年末、公園化を定めた法案が上下院で可決された。広島、長崎両市は米政府に「原爆投下の正当化につながるのではないか」と、文書で繰り返し再考を求めていた。
(2015年5月3日朝刊掲載)
懇談で松井市長は「原爆開発の結果、被爆者は心身ともに今なお苦しみ、大量の核兵器も存在する。その事実は明確に示してほしい」と強調。田上市長も「影響力のあるプロジェクトで、多くの人を誤った方向に導く可能性もある。原子雲の下で起きたことも伝えてほしい」と訴えた。同行した被爆者たちも原爆被害の実態を切々と語った。
これに対し、ケリー理事長は米国内でも関連法制定に賛否両論があった経緯を説明。「原爆を賛美する意図はない。多面的な展示にし、訪れた人に解釈を委ねるようにしたい」と述べ、被爆地と意見交換を続ける姿勢を示した。
国立公園の指定を受けるのはニューメキシコ州のロスアラモスなど3地域の関連施設周辺。同財団が保存運動を展開し、昨年末、公園化を定めた法案が上下院で可決された。広島、長崎両市は米政府に「原爆投下の正当化につながるのではないか」と、文書で繰り返し再考を求めていた。
(2015年5月3日朝刊掲載)