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「核兵器なき世界を」 NYのイベント 被爆者が訴え

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれている米ニューヨークで2日夜、平和イベントがあった。広島、長崎の被爆者がスピーチや合唱で「核兵器なき世界」に向けた願いを響かせた。(ニューヨーク発 田中美千子)

 「広島・長崎に愛を込めて 核軍縮のためのコンサート」と題し、米国の反核非政府組織(NGO)「ヒバクシャ・ストーリーズ」が主催した。原爆投下時のトルーマン米大統領の孫で、平和活動に熱心なクリフトン・トルーマン・ダニエルさん(57)=シカゴ市=が司会を務め、歌や演奏の合間に被爆者が語った。

 ロサンゼルスに住む広島の被爆者、笹森恵子(しげこ)さん(82)は、13歳の時に爆心地から約1・5キロの学徒動員先で体を焼かれ、1955年に渡米治療を受けた経験を、当時の写真をスクリーンに映して紹介した。やはり広島で被爆したカナダ・トロント市のサーロー節子さん(83)は「原爆に葬り去られた人びとの死を無駄にしたくない。今こそ核兵器禁止を」と演説した。

 広島女学院中・高(広島市中区)ゆかりの被爆バイオリンも演奏された。被爆者でつくる長崎市の合唱団「ひまわり」にも、観客が総立ちで拍手を送った。

 イベント終了後、笹森さんは「70年もたつのに人間は核を手放さない。人任せでなく、今日のようにみんなが一つにならないと世界平和は実現しない」と力を込めた。

(2015年5月4日朝刊掲載)

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