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命の尊さ伝え 広島・沖縄 思い重ね歌う 夏川りみさん 2015ひろしまFF

 広島も沖縄も、平和を願う気持ちは一つ―。FFスペシャルゲストとして歌手夏川りみさん(41)がステージに立ち、郷里沖縄の三線(さんしん)を弾きながら命の尊さを歌い上げた。約1万2千人(FF実行委員会調べ)が集まり、天性の澄み切った歌声に酔いしれた。

 南国の海のようなブルーの衣装をまとい、同郷の喜納(きな)昌吉さんが作詞作曲した「花」で開演した。手話も交え「いつの日か花を咲かそうよ」と、なでるような歌声で会場を包んだ。

 ヒット曲「涙(なだ)そうそう」では、一緒に口ずさむファンも。呉市の建設業応和弘行さん(67)は、16年前に他界した弟の笑顔を思い浮かべながら聴いた。「悲しみを受け止め、前向きな気持ちになれるこの曲にどんなに癒やされたか」

 夏川さんは2003年以来のFF出演。この間、出産などで活動を一時休止した。「子育ては大変だが、命の尊さを伝える歌詞をより深く、かみしめて歌えるようになった」という。「戦争体験者から直接話を聞ける今の世代が、記憶を受け継いでいかないと」と平和への思いも人一倍強い。

 「花と平和の祭典」にふさわしい曲をと考え抜き、当日朝になって平和を願う「アメージング・グレース」を曲目に加えた。ウチナーグチ(沖縄の言葉)の歌詞も交えて計5曲を熱唱。ステージを終え「戦後70年の節目の年に広島で歌えて幸せ。命の尊さや平和を願う気持ちを共有できた」と晴れやかに語った。(馬場洋太)

(2015年5月4日朝刊掲載)

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