×

ニュース

カストロ前議長と会談 岸田外相「核廃絶 思い共有」 弟の議長とも

 キューバを訪問中の岸田文雄外相は2日午後(日本時間3日午前)、革命指導者のフィデル・カストロ前国家評議会議長(88)と、実弟で現在の元首であるラウル・カストロ議長(83)と相次ぎ会談し、主な訪問行事を終えた。フィデル氏は2008年に引退し、外相級の海外要人と面会するのは異例。非公開だったが、日本外務省によると、03年の広島訪問や核兵器がもたらす悲惨さについて語ったという。 (ハバナ発 藤村潤平)

 フィデル氏は米国と旧ソ連の対立で核戦争への緊張が高まった1962年の「キューバ危機」の当事者の1人。現役時は核兵器廃絶に強い意欲を持っていた。日本の外相として初訪問し、被爆地選出でもある岸田氏に強い関心を示したとみられる。

 会談は、ハバナ市内のフィデル氏宅で45分間行われた。岸田氏は、原爆資料館(広島市中区)に飾られているフィデル氏の見学写真の複写などを贈り、フィデル氏は広島訪問の思い出を振り返った。核兵器の脅威を強調し、岸田氏に親族の原爆被害を尋ねたという。

 会談後、岸田氏は、記者団に「核兵器廃絶の思いを共有した」と述べた。

 ラウル氏とは、市中心部の国家評議会で会談。ラウル氏は「経済を含めて幅広く2国間関係を一層強化したい」と表明。米国との関係改善では「人権など、どのような問題でも話す用意がある。相互尊重が大事だ」と語った。

 岸田氏はカストロ兄弟に先立ち、閣僚評議会(内閣)のカブリサス副議長とも会談。同行した日本の企業関係者約20人を交え、租税や雇用制度などビジネス環境の改善を要請した。カブリサス氏は「問題解決が必要との認識はキューバ自身が持っている」と応じ、改善に積極的な姿勢を示した。

(2015年5月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ