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島根2号機の審査加速 福島と同型 再稼働は見通せず

 中国電力島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)の再稼働をめぐり、原子力規制委員会の審査が加速している。規制委が効率化を狙い、他の原発と合同の審査会合を始め、週1回以上のペースで議論が進む。だが福島第1原発と同じ沸騰水型の原発で新規制基準を満たしていると判断された例はなく、活断層調査という特有の問題も抱える。審査の先行きは依然、見通せない。(山本和明)

 島根2号機の審査会合は2013年12月の申請以来、45回を数える。東京電力柏崎刈羽6、7号機(新潟県)など、同じ沸騰水型原発を持つ3社と合同での会合がことし2月に始まり、開催頻度が上がった。3月にはこれまでで最多の7回に上るなど、ことしだけで半数に近い20回に達した。中電の苅田知英社長も「相当スピード感がある」と受け止める。

 これまでは同じテーマでも原発ごとに会合を開いていた。合同審査では4社の担当者が並び、重複する説明を避けて議論する。設備の設計の考え方などは各社で共通する部分も多いからだ。規制委は今後も合同審査を進めるという。

 再稼働に必要な新規制基準が要求するテーマは幅広い。事故時の対応拠点となる緊急時対策所や、発電所の内外の通信設備、想定される竜巻の規模などを議論してきた。規制委側からは「より詳細に」と、追加の説明や資料を求める指摘が相次ぐ。

 沸騰水型の原発に即時設置が義務付けられたフィルター付き排気(ベント)設備も審査の焦点の一つ。事故時に格納容器を守るため、放射性物質を薄めて外へ放出する機能を持つ。

 中電は4月までにベントの実施の判断基準や、配管の構造を説明。審査に当たる原子力規制庁幹部は「ベントは一つ一つが重いテーマ。議論はまだまだ続く」とする。これまで規制基準に適合していると判断された2原発4基はいずれも加圧水型で、規制委がどれだけ沸騰水型の審査に時間をかけるのかは分からない。

 また中電は規制委の指摘を受け、原発近くの宍道断層の調査を継続しており、原発の耐震性評価に使う基準地震動も決まっていない。さらに規制基準を満たしても、再稼働に向けては地元の同意も欠かせない。中電の苅田社長は「再稼働の時期は申し上げられる段階ではない」と繰り返している。

(2015年5月6日朝刊掲載)

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