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中東非核化へ道筋探る NPT会議 委員会の討議開始

 米ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は4日、会期2週目に入り、核不拡散を扱う第2委員会の討議が始まった。前回2010年の再検討会議で合意していた、中東の非核化に関する国際会議の12年開催が実現していない現状にいら立つエジプトなどが、今回の再検討会議終了から180日以内に開くよう要求。議論は混迷の様相を呈してきた。(ニューヨーク発 田中美千子)

 中東の非核化は、NPTに非加盟で、事実上の核兵器保有国イスラエルに核を放棄させるのを念頭に、大量破壊兵器のない地域実現をうたう「中東決議」をした1995年の再検討会議から抱える課題だ。この日、10年の再検討会議後に開催について調整してきたフィンランドの政府代表が経過報告。関係各国の非公式協議を重ねたが全面合意には至っていないとした。

 この後、アラブ諸国を主導するエジプトが演説し「NPTの果たされていない約束の中で、最も惨めな記録だ」と批判。「永久には待てない。新たな道が必須だ」とし、国際会議を国連事務総長が招集するよう提言した。「中東の全ての国が出席」「年1回開催」「作業部会で区域や検証法を検討」などと具体的な手法も示した。

 これに対し「興味は大いにあるが、全ての選択肢を分析すべきだ」(ロシア)、「いら立ちはよく分かるが、会議は開けると信じ、働き掛けを続けたい」(英国)などの反応があった。今後、小委員会で話し合う。

 またこの日、原子力の平和利用を扱う第3委員会も議論を開始した。1日に始まっていた核軍縮に関する第1委員会は5日以降、NPT第6条が定める核軍縮義務の確実な実施に向けた「効果的措置」など三つの小委員会別に、非公開で議論することになった。

(2015年5月6日朝刊掲載)

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