×

ニュース

継承 反戦の地から 伝統エイサー 初出場 沖縄県人会青年会 2015ひろしまフラワーフェスティバル

 「イーヤーサーサー」「ハーイヤー」。威勢の良い掛け声が平和記念公園のパフォーマンスひろばに響き渡った。FF初出場の広島沖縄県人会青年会が、地元の伝統芸能エイサーを披露。戦後70年のことし、激しい地上戦があった古里の沖縄に思いをはせ、被爆地広島で平和を願いながら踊った。

 4~42歳の男女27人が出演。サージを巻いた男性は打ち掛け姿で勇壮に太鼓を打ち鳴らし、紺のかすりを身にまとった女性はしなやかな動きで彩りを添えた。中国の船を出迎えるとき踊ったとされる「唐船(とうしん)ドーイ」や「スーリー東(あがり)」など4曲を三線(さんしん)の音色に合わせて踊った。

 青年会の活動はしばらく途絶えていたが、松田慎也会長(39)=広島市西区=が名護市から転勤し、2011年9月に再始動。旧盆の先祖供養に行われる伝統の舞を子や孫に伝え、広島でも知ってもらおうと、昨夏から練習を始めた。

 松田会長は「戦争で悲しい経験をした沖縄と広島の縁を感じ、踊りを通じて平和を願う思いを伝えていきたい」と初出場に臨んだ。顔を白く塗り、司令塔役の「チョンダラー」を務めた中城村出身の新垣雄太さん(22)=南区=は「地上戦で20万人以上が亡くなった沖縄では戦後、エイサーが途切れた地域もある。古里を離れても伝統を守り続けたい」と話した。

 踊りを受け継ぐ子どもたちも元気よく舞った。伊江村から転校してきた安佐南区の梅林小4年玉城依知佳さん(9)は「沖縄の踊りをずっと続けたい」と意気込んでいた。(加茂孝之)

(2015年5月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ